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愛すべき隣人「台湾」の未来と「日本」





海の向こうの台湾のニュースだ。中国と調印した「サービス貿易協定」の承認に反対する学生たちが台北の立法院(日本の「国会」にあたる)の議場を占拠して6日目となった3月23日夜、今度は通りを隔てて北側にある行政院(内閣)の庁舎に突入し、学生ら32人が逮捕されたのである。

非暴力での「立法院」占拠が、一部の学生によって「行政院」への突入に発展したのは、残念だった。政府に「強制排除」への口実を与えるからだ。しかし、大半は今も非暴力のまま、立法院とその周辺での座り込みをつづけている。

ことの発端は、中国と台湾が相互に市場開放促進に向けて調印した「サービス貿易協定」である。この協定によって中国と台湾が相互の市場開放を取り決めたのである。

しかし、台湾の人々に中身を開示しないまま秘密裏に結ばれた協定に反発が起こり、さらに議会で多数を占める国民党がこれを「強行採決」しようとしたことが、学生や民衆たちによる「立法院占拠」につながった。

その非暴力の座り込みをつづける中にいる台湾の若い女性がyoutubeにアップした映像が話題になっている。国会を取り巻く群衆をバックにした学生と思われる若い女性は、日本語でこう語りかけている。

「私は台湾人です。私は若いです。そして、この国の民主は、さらに若いです。台湾の民主は、私たちの親の世代の努力と犠牲で、ヨチヨチしながら成長してきました。この国の民主の歩みは、私たちの今までの人生でもあります」

そう語る二十歳前後と思われるこの女性は、民主的なプロセスを無視した協定が自分たちの未来の労働条件を悪化させ、就職機会を圧殺することを訴えている。映像はこうつづく。

「いま台湾はかつてない危機に直面しています。でも、この時代に生まれて、ここにいられる私たちは幸せです。われわれが抵抗をつづければ、この国の未来は変わり、新しい世界は開かれると信じているからです」

「現在、私は国会にいます。死にそうになっている台湾の民主のために、力を尽くそうと思います。世界中の人々にいま台湾で何が起こっているのかを知って欲しいと思います。もし、あなたも、民主が守られるべき価値があるものだと信じていたら、私たちと一緒にその価値を守りましょう」

淡々とそう語る女性の映像を見て、私は、初めて台湾を訪れた戒厳令下の27年前の台湾を思い出した。1987年2月、初めて訪台した私は、戒厳令下で民主化を求めるうねりのような若者たちの姿を見た。5か月後、実に40年近くつづいた戒厳令が、蒋経国総統によって解除になった。

戒厳令下では、いつ、どこで、誰が連行されても、わからない。実際に数多くの台湾人が虐殺された「二・二八事件」以降、夥しい数の台湾人が警備総司令部に連行され、家族のもとに二度と帰ることはなかった。中国共産党との国共内戦に敗れた蒋介石率いる国民党は、50年も日本の統治下にあった台湾を「思想監視」によってしか、治めることができなかったのである。

まだ戒厳令下だった1987年前半、共産党のスパイを通報した者には、700万元の報償が与えられることを告示した「共匪通報700万元」の貼り紙が地方の空港に貼られていたことを思い出す。

その戒厳令が、若者の民主への叫びによってついに「解除に追い込まれた」のが1987年7月のことだった。私は、「ああ、この女性は、あの時の若者たちの子供の世代なんだ」と思い至った。

たしかに戒厳令解除から始まった「台湾の民主」は、それから30年近くを経た現在、新しい局面を迎えている。それは、あの頃は想像もできなかった中国の経済大国化であり、まさにその中国に呑み込まれようとする台湾の現状である。

立法院を占拠した若者は、この協定をきっかけに馬総統の「年内訪中」「初の中台首脳会談」というシナリオへの恐れを抱いているのではないだろうか、と思う。実際にこの協定が抵抗もなく通っていたら、その可能性は極めて高かっただろう。

そして、その先にあるのは、「台湾の香港化」である。すなわち台湾の中国への隷属化にほかならない。つまり、今回の「サービス貿易協定」反対は、イコール「台湾の中国への隷属化」への反対であろう、と私は思う。

そのことを考えると、私は深い溜息が出る。中国と韓国が手を携えて日本に攻勢を強めている中で、台湾は、日本に尊敬と好意を寄せてくれている貴重な隣人だ。日本のことが大好きな「哈日族(ハーリーズ)」と呼ばれる台湾人をはじめ、これほど日本の「存在」と「立場」を理解してくれる“国”は珍しい。

あの東日本大震災の時に、わがことのように涙を流し、あっという間に当時のレートで200億円を超える義援金を集めて、日本に送ってくれたことも記憶に新しい。

その台湾で、いま「中国への隷属化」に対する学生と民衆の抵抗が始まっているのである。地図を見てみればわかるように「尖閣諸島」の情勢は、中国が台湾を呑み込んだ時に、大きな変化を見せるに違いない。

中国と台湾が、ともに尖閣の領有を主張し、アメリカが中国のロビー活動によって、尖閣を日米安保条約「第5条」の「適用区域ではない」と譲歩した時、尖閣は中国の手に落ち、さらに沖縄にも、激変が生じるだろう。

そんな歴史の狭間で、台湾の学生たちが、必死の抵抗を試みている。それでも、馬英九総統は、立法院とその周辺に集まる群衆を強制排除することには極めて重大な決断が必要となるだろう。

なぜなら、「民主国家」である現在の台湾では、非暴力の座り込みを強制排除すれば、さらに大きな民衆の反発が湧き起こることは必至だからだ。これが中国では、そうはいかない。言論と思想の自由がない共産党独裁政権の中国では、たちまち民衆は排除され、厳しい弾圧を受けるだろう。

考えてみれば、この「座り込み」こそ、中国と台湾の「差」なのである。将来、今回の座り込みが、その「差」を守るため、すなわち「民主」を守ろうとする歴史的な学生と民衆による行動だったとされる日が来るのだろうか。

「この時代に生まれて、ここにいられる私たちは幸せです。われわれが抵抗をつづければ、この国の未来は変わり、新しい世界は開かれると信じているからです」。果たして、このyoutubeを通じての台湾の若き女性の訴えは、どれだけの人々の共感を呼ぶだろうか。

戒厳令の解除へと導いた彼らの親の世代の奮闘をこの目で見たことがある私は、台湾という愛すべき隣人の動向を、心して見守っていきたいと思う。

以上、
愛すべき隣人「台湾」の未来と「日本」 (門田隆将)
http://www.kadotaryusho.com/blog/2014/03/post_751.html
より転載しました。
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